<目次>
(1) アジャイル開発のスクラム手法の流れや進め方について
(1-1) スクラムとは?
(1-2) スクラムの流れ
(1-3) スクラムにおける「バックログ」の単位について
(1) アジャイル開発のスクラム手法の流れや進め方について
(1-1) スクラムとは?
アジャイル開発の手法の1つであり、アジャイル開発のプロジェクトを管理するためのフレームワークです。
「アジャイル開発」とは、短期間(1週間~1ヶ月程度)で小規模の開発をスピーディーに・繰り返し行う事により、反復的な積み上げによりソフトウェア開発を進めるための「考え方や原則」を体系的に纏めたものです。その中でも「スクラム」や「カンバン」や「XPM」などは「アジャイル開発の手法≒フレームワーク」の一つという事になります。
アジャイルの数ある手法の中でも「スクラム」は特に「コミュニケーション」を非常に重視した手法になっており、特に計画(スプリント計画)や振り返り(レプロスペクティブ)において、チームメンバ1人1人の意見にしっかり傾聴しながら進めていく事で、各個人の力を引き出す形で進める事が出来るのが特徴です。
(参考)従来の開発手法との比較
従来の「ウォーターフォール開発」は最初に全部の要件を固めきってから次の工程に進むため、進捗管理や見積りがしやすく、非常に大規模なプロジェクトや、業務要件が明確に固まっているプロジェクトに向いています。
それに対して「アジャイル開発」の考え方は「仕様変更や機能追加が発生する前提」に立っており、要件が流動的に変化する開発(Webサービス等)に向いていると言えます。
(1-2) スクラムの流れ
スクラム開発の流れは、おおまかには下記①~⑤を「1サイクル」として進みます。
(図111)
・①プロダクトバックログの作成/更新
「プロダクトバックログ」は、プロジェクトが完了するために必要な全てのユーザーストーリー(≒要件)とその配下のアイテム(≒タスク)が漏れなくすべてリストアップされています。しかし、単なるタスクリストではなく「必要な期間」や「優先度」を設定します。一度作ったら完成ではなく、常に「流動的」で変化します。
「プロダクトバックログ」はユーザーさんとの会議や定例を経る中で常にアップデートを行い、内容や優先度について常に最新のデータになるようメンテナンスします。
↓
・②スプリント計画の作成
「スプリント計画」の打合せにて、スプリントで実施するタスクをチームで話し合います。
(表②)
会議名 |
頻度 |
概要 |
スプリント計画 |
各スプリント開始前 |
次スプリントで実施するバックログアイテムを協議して確定させる。
●参加者
スクラムチーム全員
●アジェンダ例
①次スプリントでやるタスク(BackLog Item)の検討
・プロダクトバックログの内、次のスプリントで何をやるか?を協議する
※前スプリントで未完了のものや、新規にプロダクトバックログに足されてものもあるはず。
②タスク(BackLog Item)の規模見積り
・全メンバが投票等で決める
・投票は規模を表す数字(例:1,2,3,4,5)やサイズ(S,M,L,LL,XLなど)で機械的にポイント計算可能にする
・差異が発生した場合は、各メンバの意見をしっかり確認(少数派の意見もちゃんと確認)
③チーム規模と比較
・人数、実稼働時間、兼務状況を踏まえた、チームのキャパ(時間=ポイント)を計算する。 |
↓
・③タスクの消化&デイリースクラム
・日次でデイリースクラム会議を開催し、メンバーの状況や問題を共有。
(表③)
会議名 |
頻度 |
概要 |
デイリースクラム |
日次 |
日次で15分程度行う開発者たちのイベント。
●参加者
スクラムチーム全員
●アジェンダ例
各メンバーが下記を共有
①昨日やったこと
②今日やること
③問題や課題があれば |
↓
・④スプリントレビュー
「プロダクト」に主眼を置いたレビュー(成果物のデモ、進捗報告の共有など)。
(表④)
会議名 |
頻度 |
概要 |
スプリントレビュー |
各スプリント終了時 |
「プロダクト」に主眼を置いたレビュー。
●参加者
・プロダクトオーナー、ビジネス関係者(エンドユーザーたち)
・スクラムチーム全員
●アジェンダ例
①スプリントの成果デモ
スプリント期間で実装した内容のうち、リリース準備が出来ている部分について「デモ」を行う。
デモは基本的には開発者が実施し、場合によってはプロダクトオーナーが実施しても良い。
②状況報告とフィードバック
スプリントの進捗や障壁事項について共有。
状況共有やデモを受けてのビジネス側(ユーザー)からのフィードバック。
③プロダクトバックログのアップデート共有
・ユーザーストーリーの更新や削除&優先度の再検討 |
↓
・⑤振り返り(レプロスペクティブ)
「チーム」に主眼を置いた振り返りを実施します。
※レプロスペクティブは、オンラインホワイトボード(OneNoteやMicrosoft Whiteboardなど)を使って実施すると尚よしです。
(表⑤)
会議名 |
頻度 |
概要 |
レプロスペクティブ |
各スプリント終了後 |
「チーム」に主眼を置いた振り返り。
●参加者
・スクラムチーム全員
●アジェンダ例
①スプリントの振り返り
・各人がボードに付箋を貼っていく
→各人が内容を共有
→関連するものを線で結ぶ
②次のスプリントに向けた改善点の検討
・投票の結果、決定したポイントについて皆で議論 |
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(1-3) スクラムにおける「バックログ」の単位について
「エピック(Epic)」、「ユーザーストーリー(User Story)」、「フィーチャー(Feature)」はいずれも、アジャイル開発のスクラム方式における、ワークアイテムの単位(≒要件や仕様の粒度)の単位です。それぞれの内容や違いについては、下記の記事を参照ください。