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C++

C++のマルチスレッド処理のサンプルや概要について

投稿日:2021年9月26日 更新日:

 

<目次>

(1) C++のマルチスレッド処理のサンプルや概要について
 (1-1) C++のマルチスレッドの概要
 (1-2) 構文1:関数ポインタ式
 (1-3) 構文1(例):関数ポインタ式(シングル)
 (1-4) 構文1(例):関数ポインタ式(マルチ)
 (1-5) 構文2:関数オブジェクト式
 (1-6) 構文2(例):関数オブジェクト式(シングル)
 (1-7) エラー対処

(1) C++のマルチスレッド処理のサンプルや概要について

(1-1) C++のマルチスレッドの概要

マルチスレッド化はC++11以降に導入されました。C++11以前はPOSIXスレッドやPスレッドライブラリを使用する必要がありましたが、11以降は「std::thread」(std名前空間のthreadクラス)が使えるようになりました。
 
「std::thread」は単一のスレッドを表現しており、スレッドを開始するにはシンプルに、スレッドクラスのコンストラクタを使ってオブジェクトを生成します。その際にコンストラクタの引数にCallable(※注1)等の実行対象のコードを渡す事で、スレッドが開始されます。
 
(※注1)Callableの具体例は以下
①関数へのポインタ等
②関数オブジェクト(=Functor=関数のように振る舞うオブジェクト)
 

(1-2) 構文1:関数ポインタ式

「std::thread スレッド名(・・・)」のカッコの中に、スレッド実行する対象の処理(関数ポインタ)と、カンマの後にその引数を与えます。
 
(構文)スレッドの生成
std::thread スレッド名(関数名, 引数1, 引数2, ・・・);
 
また、スレッド処理が開始されたら、次のアクションを実行する前に、スレッド処理の完了を待つ必要があります(例:スレッドに画面の初期化を依頼した場合、画面を正しくロードするためにはスレッド処理の完了を待つ必要あり)。
 
スレッドの完了を待つには「std::thread::join()」関数を使います。
 
(構文)スレッドの完了待ち
スレッド名.join();
 
これにより、例えば発行したスレッドの処理が完了するまで、mainスレッドを処理しないといった制御が可能になります。
 

(1-3) 構文1(例):関数ポインタ式(シングル)

上記構文を使った「シングルスレッド」の例です。
 
(例)
#include <iostream>
#include <thread>
using namespace std;

//# スレッドの中で呼び出す関数
void hoge(int Z)
{
    cout << Z << endl;
}

int main()
{
    //# スレッド起動(関数ポインタをCallableとして起動)
    thread thr1(hoge, 999);
    //# th1の完了を待つ
    thr1.join();   
    return 0;
}
 
(図121)

●コンパイル&実行

# コンパイル
$ g++ -g -o ./[ご自身のプログラム名] ./[ご自身のプログラム名].cpp -pthread -std=c++11
# 実行
$ ./[ご自身のプログラム名]

(図122)

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(1-4) 構文1(例):関数ポインタ式(マルチ)

上記構文を使った「マルチスレッド」の例です。こちらは単に先ほど1回だったスレッド起動を3回にして、3スレッドを同時実行しています。処理の出力順番はPCのスペックや実行した時の状態で変動します(必ずしも、thr1⇒thr2⇒thr3の順番で実行されるとは限らない)
 
(例)
#include <iostream>
#include <thread>
using namespace std;

//# スレッドの中で呼び出す関数
void hoge(int Z, int thrNo)
{
    cout<<"### THREAD#"<<thrNo<<" START : ";
    for(int i=0; i<Z; i++){
        cout << i << " ";
    }
    cout<<endl;
}

int main()
{
    //# スレッド起動(関数ポインタをCallableとして起動)
    thread thr1(hoge, 10, 1);
    thread thr2(hoge, 20, 2);
    thread thr3(hoge, 30, 3);
    //# thNの完了を待つ
    thr1.join();   
    thr2.join(); 
    thr3.join(); 
    return 0;
}
(図131)

●コンパイル&実行

# コンパイル
$ g++ -g -o ./[ご自身のプログラム名] ./[ご自身のプログラム名].cpp -pthread -std=c++11
# 実行
$ ./[ご自身のプログラム名]

↓(図132)では、プログラムの指示としてはスレッド1で「0~9」を、スレッド2で「0~19」を、スレッド3で「0~29」を、それぞれ表示する処理ですが、上述の通り必ずしもthr1⇒thr2⇒thr3の順番で実行されるとは限らないため、表示が入り組んでおり、加えて実行する度に表示が変化しています。

(図132)

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(1-5) 構文2:関数オブジェクト式

「std::thread スレッド名(・・・)」のカッコの中に、スレッド実行する対象の処理(関数オブジェクト)と、カンマの後にその引数を与えます。
 
(構文)スレッドの生成
std::thread スレッド名(関数オブジェクト名, 引数1, 引数2, ・・・);

(1-6) 構文2(例):関数オブジェクト式(シングル)

上記構文を使った「シングルスレッド」の例です。
(例)
#include <iostream>
#include <thread>
using namespace std;

//# スレッドの中で呼び出す関数
// A callable object
class thr_obj {
public:
    void operator()(int Z,int thrNo)
    {
        cout<<"### THREAD#"<<thrNo<<" START : ";
        for (int i = 0; i < Z; i++){
            cout << i << " ";
        }
        cout<<endl;
    }
};

int main()
{
    //# スレッド起動(関数ポインタをCallableとして起動)
    thread thr2(thr_obj(), 20, 2);
    //# thNの完了を待つ
    thr2.join(); 
    return 0;
}
(図141)

●コンパイル&実行

# コンパイル
$ g++ -g -o ./[ご自身のプログラム名] ./[ご自身のプログラム名].cpp -pthread -std=c++11
# 実行
$ ./[ご自身のプログラム名]

(図142)

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(1-7) エラー処理

●エラー(実行時)

terminate called after throwing an instance of 'std::system_error'
  what():  Enable multithreading to use std::thread: Operation not permitted
Aborted (core dumped)

(図151)

●対処
コンパイル時のコマンドに「-pthread」を追記して、pthreadをリンクさせます。

# Before
g++ -g -o ./thread_single1 ./thread_single1.cpp -std=c++11
# After
g++ -g -o ./thread_single1 ./thread_single1.cpp -pthread -std=c++11

(図152)

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