<目次>
(1) ユーザーストーリーマッピングとは?
(1-1) 「ユーザーストーリーマッピング」の概要
(1-2) 「ユーザーストーリーマッピング」の利点
(1-3) 「ユーザーストーリーマッピング」の手順
(1) ユーザーストーリーマッピングとは?
(1-1) 「ユーザーストーリーマッピング」の概要
「ユーザーストーリーマッピング」は、ユーザー体験の価値を最大化するために、スクラムチーム(Product Owner、Scrum Master、Scrum Member)が行う作業です。要件文書(例:ユーザーが提示する要件文書)から「バックログ」を起こしたい時などに活用できます。大まかには次のようなステップを踏みます。
・①ユーザーとプロダクトの間で発生する「アクティビティ」のアウトラインを作る
・②どれがユーザーに最も価値を提供するか?を検討する
(1-2) 「ユーザーストーリーマッピング」の利点
(表)
利点 |
補足 |
①ユーザー価値に集中 |
・「ユーザーストーリーマップ」を作ることで「利用者の立場から」プロダクトの道筋を描ける。
・また、ユーザー体験が明確になり、そのためにどんな対応が必要なのか?が明確になる |
②適切な優先順位 |
・プロダクトを提供するために必要な作業を一望できる状態にすることで、重要な項目の特定(優先順位付け)や、リリースの単位の決定に役立つ |
③アイテム規模の適正化 |
|
④早期段階で価値を提供 |
・ユーザー価値に主眼を置くことで、最も大事な部分を優先的に対応できる |
⑤リスクや依存性の洗い出し |
・ユーザーとプロダクトの対話を視覚化する事で、リスクに気づきやすくなる |
⑥チームの合意形成 |
・マップの作成過程で、ユーザー体験&実現に必要なタスクの共通認識を描く事ができる。 |
(1-3) 「ユーザーストーリーマッピング」の手順
・①課題のフレーミング(≒ゴール設定)
ユーザーがプロダクトを使って解決する「課題」は何か?を設定します。これを付箋などに書いて並べます。
(図111)
・②ペルソナ設定(≒プロダクトの利用者を理解)
プロダクトの利用者は多くの場合、複数人います。その場合、それぞれの人がプロダクトに対して、異なる目的や使い方をする事が多いです。ペルソナ(架空のユーザー像)を設定する事で、チームメンバ間でユーザーの共通認識を形成し、例外ケースに過度に注力する事を防げます。
(図112)
・③「ユーザーアクティビティ」をマッピング
「ユーザーアクティビティ」はユーザーとプロダクトの間で発生する行為です。これを「利用者の立場にたって」考えていき、2段目に列挙します。この時、左から右にユーザー体験を流れるように配置します。
(例)ネットショッピングにおける「アクティビティ」の例
(a)商品の検索
(b)カテゴリ毎に商品を見る
(c)商品をカートに入れる
(d)商品を購入する
(図113)
・④「ユーザーアクティビティ」の配下に「ユーザーストーリー」をマッピング
次に、③で列挙したアクティビティを、ユーザーストーリーに分解していきます。ユーザーストーリーは、システムの要求を「利用者目線で」書き記したものです。
(図114)
(参考)
本来、ユーザーストーリーは以下のような形式で書きますが、一旦は整理やマッピングの観点から短文で付箋に貼っています。
[XXX(Who)]として、[XXX(How)]がしたい。それにより[XXX(What)]したいからだ
(例)
アクティビティ:商品をカートに入れる
↓
ユーザーストーリー:買い物客として、購入前にショッピングカートの商品を追加&削除したい
・⑤優先順位を付ける
アクティビティとユーザーストーリーが揃ったら、優先順位に沿って並べます。その際に最も「共通的」なものや「頻繁に発生する」といった視点で並び順を考えます。
(図115)
・⑥リリース計画の策定
まずはプロダクトが動作する「最小の構成」を見極めます(≒Minimum Viable Product=MVP)。そして、まずは1つのジャーニーをクリアする事を目指します。その境界線を「リリース1」として定めます。以降の残りについても、同様に段階的にジャーニーとして繋がる一連のストーリーをセットにして、ラインを引きます。
→あとは、見積りをすればリリース計画が立ちます。
(図116)