＜目次＞
(１) VisualStudioの「デバッグモード」と「リリースモード」の違い
(１-１) 両者の違い（概要）
(１-２) 両者の違い（生成物）
(１) VisualStudioの「デバッグモード」と「リリースモード」の違い
(１-１) 両者の違い（概要）
対象言語により細かな部分は異なりますが、おおむね下記のような違いになります。
●デバッグモード
「開発時」に使用するモードで、「デバッグ情報」を出力してデバッグを容易にしています。
（特徴）
・「.exe」の中に「デバッグ情報」を保持しています（例：ソースコード、変数名など）。
・これらを使ってスタックトレース（異常時にスタックの関数呼び出し履歴の中身を出力したもの）を出します
●リリースモード
リリースモードは「性能（パフォーマンス）」に特化しており、「本番リリース時」など最終的な「.exe」や「.dll」を生成する際に使用します。
（特徴）
・「.exe」の中に「デバッグ情報」を保持しない代わりに、サイズが小さくコンパクトな資源が生成できます。
・加えて、デバッグと比較して様々な「最適化のオプション」がONになっており、より「性能」が高くなります。
（図１２２）デバッグとリリースの違いの一例↓
（表１）
| Debug | Release | |
| 用途 | 開発用 | リリース用 |
| 最適化 | なし | あり |
| 性能 | 低 | 高 |
| ブレークポイント | 全行に設定可 | 全行に設定不可 （一部は可能） |
(１-２) 両者の違い（生成物）
ビルド時に生成されるファイルの観点でも、両者の違いを見てみます（C++の例）。
以下は、生成される代表的なファイルの概要です。この中では「.idb」は「Debugモード」でのみ生成されました。
（表２）
| .pdb | ・「Program Database」の略 ・デバッガが使用するファイルで、ビルド時にソースコードから生成されます。 ・デバッグモード、リリースモード共に生成されます。 |
| .idb | ・デバッグ時のみ生成されるファイルで、コンパイラの状態を保持しており、リビルドやコンパイルの処理を最小限に抑えるために使用します。 （例） 20個のcppファイルがあり、初回コンパイルで「.idb」が生成されます。以降、一部を変更して「リビルド」する際に、変更されていないファイルはコンパイルされません。このために「.idb」が使われます。 |
| .obj | コンパイラが「.cpp」を元に作る中間ファイル。C++ではこの「.obj」ファイルから「.exe」やライブラリ「.dll」などを生成します。 「.;obj」のサイズは、デバッグモードよりも、リリースモードの方が遥かにサイズが大きい事が多いです。 デバッグ：147 KB これは、リリースモードではLTCG（最適化機能の１つ）がONになっており、コンパイラがその最適化に必要な情報を多く出力するためです。 |
（図１２１）C++の場合、生成物のラインナップ的には「.idb」が差分
