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C++ Valgrind

ValgrindのStill Reachableの意味や実際のサンプルをご紹介

投稿日:2021年10月28日 更新日:

 

<目次>

(1) ValgrindのStill Reachableの意味や実際のサンプルをご紹介
 (1-1) Valgrindの「Still Reachable」はどんな状況?
 (1-2) 例1:サンプルプログラム(still reachable発生版)
 (1-3) 例1:Valgrindのメモリリーク確認結果
 (1-4) 例2:サンプルプログラム(still reachable解消版)

(1) ValgrindのStill Reachableの意味や実際のサンプルをご紹介

本記事ではValgrindにおけるメモリリークのカテゴリの1つである「Still Reachable」についてご紹介します。

(1-1) Valgrindの「Still Reachable」はどんな状況?

メモリの解放漏れではあるものの、まだそのメモリへのポインタが残っており、アクセスが可能な状況。一般的にこのステータスは害が無いとされており、真のメモリリーク(メモリを解放したくとも、そのメモリを指すポインタが失われており、解放ができない状況)と比べても害が無いため、メモリリークとしては扱われないケースも多いです。
 
(例)グローバル変数など、共用部分で確保したメモリの解放が漏れているが、まだアクセス可能な状態
 
例えば次のようなポインタ「*x1」があり、それに対して要素3つのchar型の配列を動的に割当てします。その配列のメモリを解放(delete []x1;)しないままプログラムを終了したようなケースで「still reachable」の判定になります。
 
(図111)

(1-2) 例1:サンプルプログラム(still reachable発生版)

前述の(図111)の状況を実際に再現したのが次の(例1)のサンプルプログラムです。
 
(例1)
#include <stdlib.h>
char *x1 = new char[3];

int main(void)
{
    return 0;
}
(図121)

(1-3) 例1:Valgrindのメモリリーク確認結果

上記のサンプルプログラムをコンパイルし、valgrindコマンドでメモリリークチェック(⇒★)を実行した際の出力結果をご紹介します。
 
(出力サンプル)
==12936== HEAP SUMMARY:
==12936==     in use at exit: 100 bytes in 1 blocks
==12936==   total heap usage: 1 allocs, 0 frees, 100 bytes allocated
==12936==
==12936== 100 bytes in 1 blocks are still reachable in loss record 1 of 1
==12936==    at 0x4C2C866: operator new[](unsigned long) (vg_replace_malloc.c:579)
==12936==    by 0x4005BE: __static_initialization_and_destruction_0(int, int) (memorytest2.cpp:4)
==12936==    by 0x4005DA: _GLOBAL__sub_I_x1 (memorytest2.cpp:9)
==12936==    by 0x40062C: __libc_csu_init (in /tmp_rainbow/memorytest2)
==12936==    by 0x567D364: (below main) (libc-start.c:225)
==12936==
==12936== LEAK SUMMARY:
==12936==    definitely lost: 0 bytes in 0 blocks
==12936==    indirectly lost: 0 bytes in 0 blocks
==12936==      possibly lost: 0 bytes in 0 blocks
==12936==    still reachable: 100 bytes in 1 blocks
==12936==         suppressed: 0 bytes in 0 blocks
(図131)

(参考)
「Still Reachable」のカテゴリを結果に表示したい場合には、valgrindコマンドでメモリをチェックする際に「–show-reachable」の指定が必要です。
 
(例)
valgrind --tool=memcheck --leak-check=yes --show-reachable=yes ../チェック対象プログラム

(1-4) 例2:サンプルプログラム(still reachable解消版)

先程のプログラムに対して、メモリの解放を追記して「still reachable」の状況をも改善したバージョンもご紹介します(delete []x1;を追記したのみです)。
 
(例2)
#include <stdlib.h>

char *x1 = new char[3];

int main(void)
{
    delete []x1;
    return 0;
}
(図141)

メモリ解放を追記すると「still reachable」が表示されなくなりました。
 
(出力サンプル)
==11328== HEAP SUMMARY:
==11328==     in use at exit: 0 bytes in 0 blocks
==11328==   total heap usage: 1 allocs, 1 frees, 3 bytes allocated
==11328==
==11328== All heap blocks were freed -- no leaks are possible
==11328==
==11328== For lists of detected and suppressed errors, rerun with: -s
==11328== ERROR SUMMARY: 0 errors from 0 contexts (suppressed: 0 from 0)
(図142)

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