(1) ROEやROAの分析方法について
(1-1) ROAの分析方法
(1-2) ROA比較の注意点
(1-3) ROEの分析方法
(1) ROEやROAの分析方法について
(1-1) ROAの分析方法
(1-1-1) 式を分解する
ROAの「善し悪しの判断」をするための分析を行う方法としてROAを複数の項目に分解する方法があります。
ROA =(事業利益)/(総資本) =(事業利益/売上高)×(売上高/総資本) ・・・①
①の左項が「売上高事業利益率(%)」と呼ばれ、②の右項が「総資本回転率(回)」と呼ばれています。
(1-1-2) 総資本回転率とは?
(図111)
(1-2) ROA比較の注意点
(1-2-1) 比較するなら同業種間で行う
大まかな指標として「ROA」や「売上高事業利益率(%)」にしても、5%を超えると良好と言われています。しかし業種毎に値の傾向が異なるため、比較するのであれば同業種内で比較しないと、正しい比較になりません。例えば「小売業」と「不動産業」とで比較すると違いが明確に出ます。
小売業の場合、仕入れて売るのサイクルを素早いペースでぐるぐる回していくため、総資本回転率は高くなります。不動産業の場合、例えば賃貸は最初に設備投資として高価な建物を沢山揃えて、入居者から少しずつ家賃を徴収する事で回収をしていくため、回転率はどうしても低くなります。これらは業種のビジネスモデルによる特徴のため、比較しても善し悪しが判断できません。よって同業種での比較を行います。
(1-3) ROEの分析方法
ROEは海外では非常に重要視されている指標であり、分析にあたってはROAと同様に、分母分子に「総資本」を登場させる事によって分析的な見方をします。
ROE =(当期純利益)/(純資産) =(当期純利益/総資産)×(総資産/純資産)・・・②
(1-3-1) (当期純利益/総資産)は海外のROAに相当
②の左項「(当期純利益/総資産)」は海外におけるROAに相当する値です。日本のROAの分子は「経常利益」を使いますが、海外にはこの概念がなく、分子には「当期純利益」を使う事が多いため(当期純利益/総資産)がROAとして扱われています。
(1-3-2) レバレッジとは?
右項の「(総資産/純資産)」は「レバレッジ」と呼ばれる値で株主目線で見た時に「投下した資本に対して、どれ程の資産を保持しているか?」を表しています。多くの資産を保持していれば、それだけ多くの利益を生み出す可能性があり、多くの配当が株主に渡る可能性があります。つまり、株主目線で見て「投資に対してどれだけリターン(配当)があるか?」を示す指標であると言えます。
(図131)