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財務会計 (Financial Accounting)

企業の安全性を見る指標について~流動比率や固定比率について~

投稿日:2020年11月11日 更新日:

<目次>

(1) 企業の安全性を見る指標について~流動比率や固定比率について~
 (1-1) 企業の安全性とは?
 (1-2) 安全性の指標
 (1-3) 安全性の指標(短期的)
 (1-4) 安全性の指標(長期的)

(1) 企業の安全性を見る指標について~流動比率や固定比率について~

(1-1) 企業の安全性とは?

企業の「安全性」は「倒産に対する安全性」です。また「倒産」は企業の現金(キャッシュ)がなくなる状態を指しています。

(注意点)収益性=安全性ではない
混同しやすいですが「収益性が高い」と「安全性が高い」はノットイコール(≠)です。というのも、収益性(利益を出す能力)が高いからといって、必ずしも現金の支払能力が高いとは限らないためです。
例えば、収益が高くてもそれを上回る借入(銀行への借金)をしていたら、支払能力としては危険な状態になります。逆に収益が少なくても、例えば元々巨額の資本金を持っていた場合は、現金の支払能力はあるため、「収益性」と「安全性」は切り離して考える必要があります。
 

(注意点)赤字=倒産でなはい
こちらも混同しやすい部分ですが、赤字が続いたとしても、それは倒産の直接のトリガーとはなりません。あくまで、赤字等が続いた結果「現金」がなくなる状態が「倒産」する時です(もちろん、赤字は倒産に近づいている危険な状態には変わりありませんが)。そのため「倒産に対する安全性」は言い換えると「どれほど現金の支払能力があるか?」であると言えます。

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(1-2) 安全性の指標

BS(貸借対照表)を用いた指標をご紹介します。BSを用いた指標ですので、一時点の静止情報となりますが、とはいえ非常に参考になる数値になります。

<参考>貸借対照表について
 
具体的にはBSの左側(=資産)と右側(=負債)の大小を比較していき、左側(=資産)の方が大きければ安全と判断します。

(基本式)

[BSの左側(=資産)]÷[BSの右側(=負債)]>100%ならば安全

(図111)「負債」>「資産」なら安全が考え方の方針

理由として、BSの左側(=資産)は換金する事で支払の元手(原資)となる一方で、BSの右側(=負債)は支払うべき金額を表すためです。
ただし、これではザックリした指標のため、より精緻にするために「短期的な安全性」と「長期的な安全性」に分けて考えます。そのために貸借対照表を細かく見ると「流動」と「固定」分かれているを用いて、短期と長期の安全性を計算します。

<参考>貸借対照表の「流動」と「固定」について
https://rainbow-engine.com/balancesheet-howto-read/#title1-3

 

(1-3) 安全性の指標(短期的)

「短期の安全性」はBSの「流動資産」vs「流動負債」の比率を取る事で、直近1年の支払能力の安全性を見る指標です。

(流動比率)

「流動資産」÷「流動負債」が100%以上なら「短期的に安全」
(図121)

この比率を「流動比率」と呼んでおり、流動資産(=直近1年以内に入金・換金が可能な資産)が流動負債(=直近1年に発生する支払義務)より大きければ「安全」と考えています。

■「短期」の安全性の基準ライン(%)について
流動資産は必ずしも換金できるとは限らず、例えば売れ残りの在庫など、換金性に乏しい資産も混じった状態ですと、例え100%を超えていても「安全」とは言い切れないため、それらのリスクを見込んで「200%」を安全の基準ラインとする情報源もあります。
 
加えて、こうした現金の支払は「期日」が非常に重要で、例え確実に入金される見込みの売掛金があっても、それが負債の返済期日に間に合わないのであれば、結果的に支払できないため、それらのリスクも織り込んでの200%となります。
これらの「換金性」や「期日」といった情報は貸借対照表(=静止点情報)からは読み取れないため、安全率を掛けています。

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(1-4) 安全性の指標(長期的)

「長期の安全性」はBSの「固定資産」vs「自己資本」の比率を取る事で、固定資産の返済を全て自己資本でまかない切れるか?を見ています。

(固定比率)
「固定資産」÷「自己資本」が100%以下なら「長期的に非常に安全」
 
長期の場合は割り算の分子は「固定負債」(長期ローン等)ではなく、「自己資本」(=純資産)を使います。理由は長期の場合は「固定資産の返済を自己資本で賄えるか?」、つまり銀行の借り入れ(負債)に頼らずに返済できるか?という観点で見ているからです。この比率を「固定比率」と呼んでいます。
 

■ただし固定比率<100%は非現実的

ただし、実態として企業の「固定比率」が100%未満になる事は余り多くなく、200%を超える事も普通です。そもそも通常は固定資産は長期のローン等を利用して購入するのが一般的です。そのため、「自己資本+長期ローン」との組合せで「固定資産」の返済を賄えてれば問題なしとする判断が主流です。これを「長期固定適合率」と呼んでいます。

(長期固定適合率)
「固定資産」÷(「自己資本」+「固定負債」)が100%以下なら「長期的に安全」

(図131)

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